動画はご利用者向け。これはスタッフ向けのブログなので、内側の事情をメインに書こうと思う。
グループホームに限らず施設とは、1か所にご利用者を集めて支援やお世話をする、支援者側の都合が詰まった場所である。
これが悪いと言っている訳ではない。(言い方、表現は悪いかもしれない…)
いつも人が近くにいて安心、嬉しいという方も多い。
ただ、生まれてからほとんどの人が自宅で家族と暮らしてきたのに、ある段階で他人との集団生活を要求されていることを知っておいてほしい。
日本の社会保障制度上、様々な理由からこの選択肢を選ぶ(選ばざるを得ない)人が多いということ。
こんな前置きのもと、読み進めてほしい。
目次
個々のご要望に応えて、やっとまともな施設
冒頭の通り、グループホームは支援者都合であり、生まれた環境と違う生活環境に身を置くこと、という見方も出来る。
そこでさらに
「毎週買い物に行きたい」→スタッフが足りないので無理です。
「毎朝納豆を食べることが習慣なんです」→うちのホームにはありません。
そんな回答をされたらあなたならどうだろう?
暮らしの場では人生史上初の出来事になるだろう。
断る前に全力で考えて全力で対応しよう。
ご利用者が理不尽なことを言ってないのに対応できないなら本気で謝ろう。
思い通りにならないおうちっておうちと呼べるだろうか?
日本の社会保障制度上こうなっているだけ
戦後50年以上続いてきた措置制度では、自治体が利用先を決める権限を持っていた。
2003年から支援費制度に仕組みが変わり、ご本人が事業者と契約して利用先を決められるようになった。
2023年現在、多くのサポートが必要な障害者の暮らしの場を支えるサービスは、グループホームや入所施設が多数派だと思われる。
自宅で居宅介護(重度訪問介護)サービスを利用しながら生活する方法もある。
ただ、生活に必要なサービス量が出なかったり、支援者(労働者)が足りず成立しないケースもある。
サービス量と支援者が揃ったとしても、例えば重度訪問介護は介護報酬が安く、事業者が嫌がるケースも多い。
これが悪いことだとは思わない。
福祉に限らず事業と呼ばれるものは経営なのだ。
これらの理由からグループホームや入所施設が選ばれているのではなく、一人暮らしという選択肢が取りにくい。
オーダーメイドプランではどうだろう?
オーダーメイドプランとは、社会保障制度と実費負担で生活設計を立てることを指している。
例えば夜間に支援者がいないと生活が難しい方が、1ヶ月の内、7日はショートステイ利用、23日は自宅で生活するとしよう。
夜間は実費で宿直サービスを利用、1日15,000円と仮定すると、
- 15,000円×23日=345,000円
かかることになる。
これに自宅の家賃や食費、日用生活品などの費用が乗っかると毎月の生活費は400,000円は超えるだろう。
95%くらいの人は難しいと思われる。
ただ、経済的に問題のない人もいるだろう。
オーダーメイドプランは、社会保障制度と組み合わせることで選択肢が多くなるので考える余地はありだ。
家族以外でも親戚や友人からの支援など、費用の発生しないものも考えられる。
グループホームに入居された後の家族の心境
ご本人が入居されたとしても家族的には「これで安心!良かった!」とはならない。
ちゃんと適応して生活できているだろうか?これまでの生活習慣はグループホームでも続けてもらえてるだろうか?
家族は心配で心配でたまらないのだ。
そこでグループホームの質が問われる。
実際に提供する支援、家族や関係機関とのコミュニケーション、帰省の配慮など、たくさんのことを対応して信頼関係が築けてくる。
そしてある程度信頼関係が築けて家族が安心してくると、ホームに来られる回数が減るところが多い。
現代で共通していること、みんな忙しい。
意図的で必然的な接点を作り続ける
有効なのは通院である。
薬の処方などで必要な通院対応をすべてこちらで行くのではなく、家族さんにも行ってもらうのだ。
手間を押し付けているのではない。
家族とご本人、スタッフと家族との接点を作り続けるのだ。
その点では僕たちは、やりすぎていないか?慮ることができていないのではないか?
考えてみてほしい。
最適解などないのだけど、この業界のプロフェショナルな部分に関わる大事な部分だ。
終わりに
グループホームや入所施設は”支援者の都合が詰まった暮らしの場”なんて、ろくでもないこと言っているのは知っている。
しかしご両親にとっては、“「親亡き後」も我が子に住み慣れた地域で普通に暮らしてほしい”という、普通の願いが詰まった場所であることも知っている。
それを叶えたいと思いグループホームを始めたのだ。
理不尽な要求でなければ要望に応えよう。
グループホームはみんなのおうちなのだ。