社長ブログ

障害者グループホームの総量規制について

財務省が障害者グループホームの総量規制導入を検討している。

「費用の膨張」と「サービスの質の確保」を理由に、数を抑制しようという話。

効果的な費用抑制とサービス質の確保には賛成だ。

ただ、この規制には疑問がある。

そもそもを言うと、社会保障費全体で抑制すべき目標数値とアクションプランを示してほしい。

でなければ「この規制が有効なのかどうか?」判断付かない。

住居は2つも持たない、当たり前の話

そもそも住居とは、1人が2つも持たない。

つまり、1人の利用者が複数のグループホームを利用することはない。

必要だから増えているのであって、ある一定のところで必ず止まるはずだ。

数を抑制するということは、住む選択肢を減らすと同義である。

人間にとって非常に重要な「住む場所の制限に繋がる可能性」の議論はしているのだろうか?

そして障害者の住居の選択肢を奪った場合、他の法律に違反しないのだろうか?

インパクトあるの?

この記事では「費用の膨張」としか書かれていない。

ここを抑制することで、どれだけの金額が削減でき、社会保障費全体の何パーセントに当たるのか。

僕の予想では、そのインパクトは低いと考えている。

135兆4,928億円(2023年度)と言われる社会保障費全体で見ると雀の涙だろう。

インパクトを求めるなら医療費の方がメスを入れる要素も多いと感じる。

病院の大小問わず、経営効率の悪さは患者として行くだけでもよくわかる。

せめてプラウドノートみたいな録音要約は、問診→カルテ作成に使った方がいいと思う。

カルテ作成の手間が大きく省けたら、もう1人患者を見れるのではないだろうか?

「ポジショントーク」でメス入れを嫌がっている訳じゃない。

ここに今、国全体で労力を入れる価値があるのか?

その価値がわからないのである。

資格要件では質は担保できない

サービスの質の確保のために「有資格者を配置」。

理由は「事業の参入障壁」と「質の担保」を謳っている。

「事業の参入障壁」と言えば、すでにサービス管理責任者の配置は義務付けられている。

初任者研修を参入障壁とすれば、2~3ヶ月で取得できるため、大した障壁にはならない。

全員有資格者にすれば多少は…というところだろう。

追加で看護師を配置するとなれば、人材派遣会社が儲かるだろう。

「質の担保」になるかと言われたらそうは思わない。

資格を持っていれば質が担保されるという考え方が、そもそも間違っている。

僕的には「サービス業出身の無資格者」が面接に来た時は大きな期待を持つ。

反対に、この業界に携わる人を減らす懸念の方が大きいと思うのは、少数派の意見だろうか?

規制ではなく理想を示すのがいいのではないだろうか?

規制ではなく、理想を作るのはどうだろうか?

全国各地にある既存のグループホームのいくつかターゲットを絞って、国が理想とするところまで質を高めてもらい、その事業所での研修を認可要件に加えるなど、理想を示す形だ。

そういうところに集中投資する方が質の担保には繋がると思うし、事業運営の大変さを現場で知れば安易に参入しようなど思わないはずだ。

何かを問題解消したいのはわかる。

でも規制じゃなくて、理想を見せるという形が社会実装されているのを見てみたい。

終わりに

問題があると、規制や罰を作る。

犯罪をすると、取り締まる警察がいて刑務所に入る仕組みがあるように、それは有効なのだろう。

でも、すべてにおいてそれが有効なのだろうか?

事務作業や手間が増える一方、報酬には反映されない対策は山ほど見てきた。

そして生産性を上げろ、と言う。

また今回もその類か、という冷めた気持ちでこういったニュースを見ている。

地方郊外の名もなき会社経営者は、この状況を祈る想いで見届けることしかできない。

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