この協業補助金は、対象となる事業者にとってはメリットしかない。
ただ、実際に行動に移すのは一部だろう。
小規模で非合理的な運営をしている人が、変化球とも言える「他社との協業」なんてやるだろうか。
さらに小規模事業者は大規模化なんて求めてない。
なぜなら経営者「私利私欲」「既得権益」が薄れるからだ。
私利私欲が悪いと言っている訳ではない。
生きる活力であり、行動の動機だ。
僕も私利私欲を求めて起業したのは間違いない。
だから私利私欲を無視したこの国の施策は空振りすると思ってる。
訪問介護事業がなぜこんなに数が多いのか?も含めて、今日も持論を展開しよう。
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訪問介護は最も起業しやすい
訪問介護事業は少額の資金で始められ、小規模でも運営できる。
そのため「雇われない生き方」を求める人たちにとって、絶好の選択肢となっている。
簡単すぎるからコンサルティングもフランチャイズもない。
しかも事業を始める時には、前職の顧客(ご利用者)や従業員を引っ張りまくって起業する人も多い。
僕にとっては理解できない倫理観だけど、倫理観は人の数だけ存在すると心得た。
もうこれは僕がこの仕事を始めた18年前からずっと続いている。
自分の裁量で資金と経費を使え、労働時間も自分でコントロールできる。
自宅を事務所にしてしまえば税務処理も自分の都合に合わせやすく、生活と仕事の境界線をあいまいにできるメリットもある。
こうした「既得権益」は、超小規模な訪問介護事業者が頑なに独立を守る最大の理由だろう。
この「既得権益」を上回るメリットがなければ、協業に応じる動機は生まれない。
事業効率を求めているのは少数派
僕が今まで事業をやってきて感じるのは、8割の人は「事業効率」なんて本気で求めてない、ということだ。
8割の人は「昨日までと同じ今日」を求めている。
「補助金が出るならデジタル化しようかな」くらいだろう。
誤解のないように1つだけ付け加えると、サービスに関しては向上心がある人が多い。
ただ、バックヤード、他社との差別化、人材獲得、WEB戦略となると「みんなやってないからうちもやらなくていいよね?」となる。
個人的には「みんなやってないから絶対にやるべき」なんだけど…
この理屈は少数派のようだ。
少々やらなくても利用したい人はいるから売上は立つからね。
私利私欲は生きる原動力
人間は基本的に私利私欲で動く生き物だ。
これは否定しようのない事実であり、「自分の利益になるか」「自分の欲求が満たされるか」という動機がなければ、人はなかなか動かない。
福祉業界では崇高な理念とか奉仕の精神が重視されがち。
ただ、現実それだけでは長続きしない。
「利他」と「利己」のバランスがほんとに大切。
自分の欲求も満たしながら他者に貢献できる仕組みこそ持続可能だ。
この原理を無視した協働論や合併案は、壁にぶつかると思う。
小規模では叶えられない理想
僕は最初から確信があった、「小規模では理想は実現できない」と。
その理想とは、
- ・他社より高い給与水準
- ・事業の安定経営(特にグループホーム)
- ・支援がたくさん必要な障害者向けの手厚い人員体制
この3つは小規模では確実に不可能だと、28才の未熟な僕でもわかった。
だからある程度の事業展開を行ってきた。
ただ、大変なのはニッポンゼンコク共通言語の「人材不足」である。
人材不足の状況下で人は、適当な判断が出来なくなる。
こんな人材不足な状況でも合併や協業は進まない。
それは8割の人は「昨日までと同じ今日」を求めているし、既得権益が薄れるからだと思う。
「皆で力を合わせましょう」「業界全体のために」という呼びかけだけでは残念ながら人は動かない。
もっと強いインセンティブが必要だろう。
小規模では叶えられない理想が山ほどあるのに…
現実問題で考えられるアプローチ
最近こんなニュースもあった。
要は、「上場後5年以内に時価総額100億円まで成長できない企業は『上場企業』とは認めないよ」という内容だ。
こんな風に事業者に求める規模を示さない限り、ニッポンゼンコク人材不足には対応できないと思う。
一定規模がなくて、近隣に同業者がいる場合は合併してくださいねと。
もしくは前半に書いたように、経営者の私利私欲を満たしつつ、協働・合併を促す形。
協働したら補助金出すよ〜?やってみない?
くらいだと状況は何も変わらない。
終わりに
結局のところ、この業界の構造的な問題は一朝一夕には解決しない。
ただ、僕は自分の会社だけでも高い給与水準、安定経営、手厚い人員体制を追求していく。
これらを実現できる規模と効率性を武器に。
協業や合併なんて待ってられないよ。
時間の感覚が”フツー”とは違うから仕方ない。
