直接支援で培った土台があるからこそ、今この立場にいて発信活動もできる。
最近「障害のある方の一週間を大公開!」という動画を作った。
YouTube公式チャンネル
今回紹介した立本くんは、僕が23才でホームヘルパーを始めた当初に移動支援で関わらせてもらった方だ。
当時、自閉症や障害福祉のことなんて何も知らなかった僕にたくさんのことを教えてくれた、僕の先生である。
そんな思い入れのある方が当社グループホームに入居してもらえて、動画でも関わらせてもらえたことは感慨深い。
こういった現場での経験や関係性が、今の経営者としての視点の基盤になっている。
直接支援から経営まで、すべては繋がっている。

YouTube公式チャンネル
現場経験が最大の財産
僕はこの業界で働き始めた当初、ただ現場で働くことが楽しかった。
利用者さんと直接関わり、その人だけでなく家族から提供したサービス以上の感謝がもらえる。
立本くんもその一人で、この業界で必要なたくさんのことを教えてくれた。
同じくお母さんも、明らかに未熟な23才の僕にたくさんのことを教えてくれて、見守ってくれた。
その循環は今でも変わらない、魅力的な仕事だと思う。
現場での経験があるからこそ、スタッフの苦労も理解できるし、利用者さんのニーズも肌で感じることができる。
この土台なしに経営だけやっていたら、きっと机上の空論だけになっていただろう。

取捨選択
直接支援だけで、やりたいことや今の生活が出来るならそれがいい。
ただ、そうはいかないのが現実だ。
組織が大きくなるにつれて、より多くの利用者さんにサービスを提供するには、経営という立場から全体を見る必要があった。
やりたいことはたくさんあるけど、取捨選択をしていかなければ結局何もできない。
新しいサービスを始めたい!
スタッフの待遇を改善したい!
手厚い人員体制を作りたい!
全部自分でやろうとすると、すぐに限界がきてしまう。
そんな時に自分に問うこと。
- 「何をやるか?」ではなく「何をやらないか?」
これは経営者として学んだ最も重要なことの一つだ。
時には「なんで社長がこれをやらないんだ」と批判されることもある。
でも、限られたリソースで成果を出すには、「やらないこと」を決める勇気が必要なのだ。

すべて別のゲーム、でも繋がっている
直接支援、サービス管理、組織マネジメント、経、すべてが別のゲームである。
表現が悪いけど…直接支援は利用者さん一人ひとりと向き合うゲーム。
サービス管理は現場指導を中心に品質を高め、効率も求めるゲーム。
組織マネジメントは人を動かし、チームを作るゲーム。
経営は数字と向き合い、持続可能な仕組みを作るゲーム。
それぞれに必要なスキルも考え方も違う。
なのに、これらはすべて繋がっている。
経営判断は現場に影響し、現場の声は経営に反映される。
サービス管理の質が組織の評判を左右し、組織マネジメントの良し悪しがサービスの質を決める。
この繋がりを理解して、バランスを取ることが経営者の仕事だ。
介護業界はこれから厳しくなる
最近「最低賃金アップで苦しむ介護経営者は努力不足」という内容のショート動画も出した。
YouTubeサブチャンネル
「最低賃金が上がって介護業界が悲鳴をあげている」というニュースがちらほら。
これには言いたいことがたくさんある。
でもまぁ、ひと言でまとめると「経営努力が足りないんじゃない?」ってこと。
経営努力なしに「賃金上昇で経営が苦しい」と言うのは甘えだと思う。
訪問介護の倒産の内、90%が従業員10名以下の小規模企業だという。
そんな会社が苦しいのは、算数ができる小学生ならもうわかる。
加えて「外国人人材が介護業界から去っていく現実」。
技能実習生の制度変更、円安による魅力低下、他業種、他国との人材獲得競争。
また、今は積極的に出稼ぎをさせている発展途上国が、今後は自国発展のために出稼ぎを控える促しをするのでは?という動きもある。
残念ながら問題は最低賃金アップだけではないのだ。
終わりに
経営者はこれらのことを理解しつつ、それぞれのゲームを乗り切らなきゃいけない。
行き着く先は経営、そして努力努力努力なのだ。
1つ幸いなことは、一般的に努力と呼ばれることが僕には苦痛じゃないのが良かった。
むしろ楽しい。気持ちいい。
立本くんのような利用者さんが、自立した生活を送れていることは最高の報酬だ。
想いのあるスタッフが利用者さんに貢献したいと、ともに働けるのも最高の報酬だ。
現場で培った経験と想いがあるから続けられる。
直接支援から経営まで、僕の過去から今まで、すべてが繋がっている。


