まだ会社員の頃、先輩に教えてもらった言葉である。
これは色んな意味で的を得ている。
全体(集団)の安心・安全と支援が行き届いている上で、個人に個別に計画された支援を提供する。
全体をないがしろにして個別支援は成立しない。
すなわちある程度、組織が成熟されている必要があるのだ。
この言葉は一つの指標として、僕は自社の事業所を見ている。
最近は社内の課題に目を向けがちだったので、今回は良い所に焦点を当ててみようと思う。
新幹線が好きなHくん
この方はJRや新幹線がとても好きで、時々グループホームの日中支援で見に行き楽しんでおられる。
前はヘルパーさんと行っていたんだけど、コロナで中止になり、そのまま外出支援がなくなってしまった。
とても繊細で、予定と違うことが起きたり自分に”火の粉”が飛んでくる(と感じる)と、時々大きな声を出すことがある。
しかし根は優しく人を気遣うこともできる素敵な人である。
関係性が作れると心を開き、色々な支援を受け入れてくれる。
この方がグループホームに入居できたことは本当に嬉しかった。
グループホームスタッフを筆頭に、この方に関わるすべての支援者の努力の賜物である。
頑固おやじのTさん
この方は無口でとっつきにくさのある、いわゆる”頑固おやじ”のような人である。
めんどくさがりで動かない。着替えてもくれない。
何事にもしっかりとした”動機”がないと動いてくれない。
このままだとあらゆる機能の低下に繋がるので、朝10:00に2階から1階へ荷物を運ぶ”役割”を頼んでみた。
もちろん「行かない」と即答だが、スタッフとお姉様の渾身のプレゼンにより”役割”が始まった。
最初は渋々だったかもしれないが、みんなから称賛と「ありがとう」の声により習慣に変わっていった。
今では時間キッチリに役割を担ってくれている。
やらせているように見えるかもしれない。
しかしこれは身体機能や認知機能の維持になる。
周りからの要求に応えることで「私はここで必要とされている」という認識にも繋がる。
介護の業務には”誰にでも出来る仕事”と”プロフェッショナルな仕事”がある。
これは間違いなくプロフェッショナルな仕事。
そんなチームの願いと実行力が詰まっているのである。
後編に続く
後編でも2人のご利用者の上手くいっている支援について紹介する。
ご利用者の成功体験=スタッフの成功体験でもある。
ご利用者が成功体験を積むことと同じくらい、スタッフが成功体験を積むことが大事でありモチベーションの維持になる。
むしろそのためにやっていると言っても過言ではない。
数ある仕事の中からわざわざ介護を選んだのだから、これを体験しないともったいない。
まとめて書くと長くなりそうなので2回に分けて投稿する。