中編では嫌われる勇気、アドラー心理学に書かれている考え方を中心に書く。
心理学と言っても、この本は哲人と青年の対話方式でストーリー性があり読みやすくなっている。
アドラー心理学は初見では理解し難く、今までの人生の中で聞いたこともないような発想で問いかけてくるので、咀嚼に時間がかかる。
ただ、僕のブログの性質上、長文書くことは向いていないので断片的になってしまうかもしれない。
本の中に書いてあることで、「この哲学を理解するには”今まで生きてきた人生の半分”を要する」と書いているのだから断片で理解できるわけはない。
なのでこの本を手にするキッカケになってもらえたら幸いである。
ネタバレ状態で読みたくない人はこの先は読まずに、先に本を読んでくださいm(_ _)m
前編はこちら。
トラウマなど存在しない 目的あっての行動
アドラー心理学ではトラウマを完全に否定している。
例えば対人関係で打ちのめされ心を病み、ひきこもりで仕事をせず、誰とも会わず自宅で両親とひっそりと暮らしている青年がいるとする。
「前の職場の人たちに酷いことをされたから私はひきこもっているのだ」といつも思い悩んでいる。
この場合、アドラー心理学では両親の注目を集め、仕事をしないことを目的にひきこもっているのだと考える。
そのために「酷いことをされた」ことを利用していると。
もう一つ。
例えば赤面症で想いを寄せている男性に告白できない女性がいるとする。
「この赤面症さえ治れば告白するのに」といつも思っていて、カウンセラーにも通い始めた。
この女性も先ほどの男性と同様に、告白しないことを目的に赤面症を作り出していると考える。
アドラー心理学では、すべては”内なる目的”を達成するために行動している、と考えることから始まる。
僕の目的は
これを元に僕が対人関係で悩んでいた目的は何だったんだろう?
「自分では立て直せない赤字の就労支援事業を止める」という決断から逃げることが目的だった、と解釈すると説明がつく。
事実、この瞬間が一番辛かった。
止めることは7年間の努力が報われず、金銭的な損失もあるので”取り返したい”というギャンブル的な発想もあった。
スタッフが僕に対して不満に思っていたことを理由に悩んでいたのではなく、止めると言うことから逃げるためにその不満を利用していたのだ。
嫌われても気にしない
アドラー心理学で重要な考え方で「課題の分離」がある。
今回の話の場合、スタッフが僕に対して不満に思っていることで僕が思い悩むのは”筋違い”であると考える。
僕は他者貢献の気持ちで、自分がやるべき課題に取り組んでいた。
つまり、今までにない就労支援を作って、ご利用者とスタッフに喜んでもらおうと思っていた。
その結果、嫌われた。
この時、人が僕のことを嫌うかどうかは相手の課題であり、自分にはコントロールできないことである。
同じことをしても好かれる場合もあるし、今回のように嫌われる場合もある。
すべては相手の判断である。
自分にはコントロールできないことで思い悩むのは”筋違い”なのだ。
本気で他者貢献を考え行動したのなら、その勇気は誇るべきだという。
ただ、やり方は相当下手だった。反省すべき点である。
他者貢献”感”
ブログ内でも何度か出てくる言葉「他者貢献」について。
他者貢献はアドラー心理学の中でも、自ら幸せを感じることのできる重要な考え方である。
他者貢献と言うと、相手に何かをして感謝されることだと想像すると思う。
それは似てるけど違う。
大事なのは感謝されたかどうかではなく、他者貢献感であるという。
例えば地域清掃活動でゴミ拾いをしていたとする。
30分黙々と頑張ったんだけどその日は誰とも会わず、「ありがとう」と言われることはなかった。
それでも本人が、他者貢献をしたと感じられたかどうかが重要な部分である。
ここでも「ありがとう」と言われるかどうかは相手の行動に依存している。
感謝されるかもしれないし、ひねくれた人だと「余計な事しやがって」と思っているかもしれない。
前述の通り、自分ではコントロールできない課題である。
重要なのは、日頃お世話になっている地域に貢献したいと「勇気を持って善意で行動した」「他者貢献のために行動した」ことである。
言うなれば自分で自分を認めることである。
この場合、他者を必要とせず自ら幸せを感じることができる。
これはアドラー心理学を理解するのに重要な感覚である。
勇気
自分で自分を認める、相手の課題には土足で介入せず、自分がやりたいことだけをやれ、という訳ではない。
そうなると、例えば「何かやりたいことがある」という悩みを持った人に対してのすべての答えが「他者貢献をあなたが感じるなら勝手にどうぞ」となってしまう。
そうではなく、勇気づけという方法で他者貢献ができるという。
「やりたいことがある」とあなたに相談してくるってことは、それに対して精通しているか、精通までいかなくても経験があるから相談されているのだろう。
この時に自分の知識や経験を伝えて、相手に様々な判断材料を提供できるかもしれない。
もっと言えば、自らの繋がりのある専門家を紹介するなど、相手のやりたいことに貢献するのである。
心が動けば自分もそれに加わりたいと思うかもしれない。
やりたいことに挑戦する勇気を持ってもらうよう働きかけることである。
アドラー心理学に出会って良かった
- ・過去を否定し
- ・人に嫌われても関係ない
- ・それは相手の課題だ
- ・自分で自分を認めろ
ここまで読んでこれらの一部分を切り取ってしまうと、「なんと個人主義で心の通わない心理学なんだ!」と思う人も多いかもしれない。
事実、著書の中でもその点には何度も触れている。
しかし、アドラー心理学は他者を思いやり、尊重し、勇気づけによって他者と人生の共同体感覚を得る、優しさに溢れた心理学である。
反対にトラウマなどで自分や他人をラベリングし、相手の課題に土足で介入する他の心理学がいかがものかと問いかけている。
少なくとも僕はこの考え方で救われた。
終わりに
後編では僕が立ち直れた後のことを中心に書く。
前編にも書いたけど、立ち直れたのは就労支援閉鎖後のだいぶ後である。
このブログの冒頭にも書いた通り、話が断片的なので興味が持てた人は是非本を手に取ってほしい。