社長ブログ

マレーシアの就労支援施設ACS(前編)

投稿日:

3月1日 マレーシアにあるペナン島という場所に行ってきた。

目的はACS(アジアコミュニティサービスの略)というNGO団体が運営する、就労支援施設の見学だ。

ペナン島は僕が住んでいるクアラルンプールから飛行機で1時間くらい。

ここを見つけた時、車で1時間くらいかと思っていたら、飛行機で1時間なことにメールでコンタクトを取った後に気付いた。

もし最初から飛行機移動だと気付いていたら行っていなかったと思う (^_^;;)

エアアジアでKL→ペナン島
片道1人3,500円くらいだった

ACS(アジアコミュニティサービス)について

ACSの創業者はアイナさんというマレーシア人の女性で、今回アポを取るためのメールから見学まで、すべての対応をしてくれたのもアイナさんだった。

左がアイナさん 右が内海さん

ACSは、マレーシアに発達障害児の療育環境がないことをキッカケに1995年に立ち上げられた。

立ち上げには2人の日本人が関わっていて、その2人がいないとACSはここまでやってこれなかったと言う。

そのうち1人は内海さんという70代女性で、40年前”海外青年隊”でマレーシアに訪れて以来、永住してアイナさんとともに活動している。

今回の見学でも同席して通訳をしてくれた。

もう1人はナカザワ ケンという男性で、元厚生省で障害福祉専門官であり、ACSと日本財団との繋がりを作るなど、ACSの資金調達に尽力していたという。

今回見学した就労支援施設は主に、この日本財団からの寄付で建設された。

ナカガワさんは2022年に亡くなられたそうだ。

亡くなる2019年に書籍を出していたので購入した。

ACS立ち上げ後は療育だけでなく、今回見学をした成人の就労支援や、親のレスパイトケアなどのサービスを提供している。

マレーシアの障害福祉サービス事情

結論からいって国からの公的な資金提供や、日本でいう介護報酬のような仕組みはないらしい。

利用者から利用料ももらっていないという。

つまりすべて無報酬である。

療育、就労支援、レスパイトケア、すべて。

理由は、事業がスタートした当時は経済的に厳しく、お金を払う余裕のない家庭が多かった。

「じゃあ今は?」と聞くと。

今はマレーシア自体も発展し、中には経済的に余裕のある家庭もあるけど、お金をもらってしまうと運営に口出しされてしまうリスクがあるので、今でも無料でやっているという。

メンバーの仕事と経済事情

今回見学した就労支援施設に通う利用者のことは「メンバー」と呼んでいた。

知的障害者が10人程度が通う施設で、パンやクッキー作り、染め、さをり織り、ペーパーバッグ作り、などの生産活動を行っていた。

さをり織りの作業場
視覚で仕事内容を伝えるボード

それらを販売して収入を得ている。

ちなみにパンやクッキーは、ホームレスを支える慈善団体に提供し、その慈善団体からホームレスに配られるのだという。

ACSの月の給料(工賃)は1人平均150MRY(4,650円)。

※MRY=マレーシアリンギット、マレーシア通貨、1リンギット=31.7円(2024年3月時点)

マレーシアで働く障害者は、国から毎月450MRY(13,950円)の手当があるらしい。

工賃150MRY+手当450MRY=600MRY(18,000円)がメンバーの月の収入となる。

ほとんどのメンバーは自宅で家族と暮らしていて、この金額でも問題なく生活できるらしい。

もちろん家族と相性が悪く一人暮らしをする人もいるけど、住居費がかからないとこに住んでるから大丈夫だと。

※ちなみに5年前まで1リンギット=27円、対ドル同様、5年で17%、円の価値が下がっている。

ここ数年、円でお金を持っていると自然減なのである。

給料ゼロのボランティア

創業者のアイナさん、内海さんを含めた支援スタッフの給料はというと、基本ゼロ。

内海さんは、今回見学した就労支援施設の横にある住居で寝泊まりし、基本は食事も提供してもらいながら生活している。

庭(施設内)で野菜を育てて食べるのは、趣味の一つのようだ。

創業者のアイナさんは、本を出版しているのでその収入はあるが、少ないと言っていた。

他にも人前で話をすることもあるけど、ボランティアや寄付を募るための活動で、講演料のようなものは取っていない。

人前で話をするのは、すべてACSに興味関心を持ってもらうための活動だ。

ちなみにあのIntelとも寄付等で繋がりがあるらしい。

「Intel入ってる」の、あのIntel。

Intelはペナン島に半導体の製造工場を持っている。

アイナさんで成立している

この記事の通り、ACSの運営は寄付のみ、生産活動収入はすべてメンバーへ。

ボランティアの獲得は、アイナさんが家族会などに呼ばれた際に呼びかける。

アイナさんは直接支援の傍ら、寄付とボランティア獲得の広報活動に励んでいる。

寄付とボランティア、言い換えると資金調達と人材確保。

直接支援では人材育成も兼ねているだろう。

直接支援以外は、僕とやってることは変わらないと思いつつ、聞いてみると課題の質は違うと思った。

終わりに

長くなりそうなので今回はACSの紹介に留める。

次回は、僕が感じた当社とACSの課題の相違と、アイナさんからもらった繋がりについて書く。

もう少し情報量を蓄えて、YouTubeでも紹介する予定。

ちょっとだけ観光もさせてもらった。

ペナンヒルの頂上まで上がるケーブルカー

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