概念とは抽象化することである。
洗練された抽象化言葉は短く、誰もがわかり、多くの共感を得る。
絵や歌やロゴなども概念を想起するキッカケになる。
そしてそれは集団が行動するときの共通言語になる。
概念で集団は繁栄する
サピエンス全史によると、ヒトは概念の共有で繁栄してきたと言う。
集団で概念を共有することで、ヒトより大きく力の強い動物から逃げたり殺したりして生き延びてきた。
共有する人数はどんどん増え、国という形で数億人で一つの概念を共有するに至る。
通貨や法律なども概念である。
それが発展しSDGsやユニバーサルデザインなど、今や地球上にいるヒト全員で概念を共有しようとしている。
概念を共有することでヒトは強くなれるのだ。
※サピエンス全史では、ここでいう概念を「虚構」という言葉で表現している
経営理念(共通言語)で概念を共有する
- 私たちは障害者がありがとうと言われる社会を作ります
とてもキャッチーな言葉で気に入っている。
これを凡庸な言い方にすると、「障害があっても役割ややりがいを持つことが大事」と言える。
ただ、それだと”ありふれた”言葉で頭に残らない。
「私たちはそのために仕事をするんだ!」
結局やることは一緒だとしても、集団が共通言語を持つだけでモチベーションが変わる。
精神的自立
精神的自立の一つの側面は、自分で自分を認めることである。
そこに他者は必要なく、
- ・私は存在する団体において有用な人間である
- ・私には出来ることがある
そう自ら思えることが重要である。
この仕事で言うと、「自立支援」や「役割ややりがい」をサービスとして提供することがそれに当たる。
「他者貢献感」を提供することとも言える。
- 私たちは障害者がありがとうと言われる社会を作ります
この言葉には「ありがとう」が含まれているので他者を必要とする。
ただ、本質は「精神的な自立」や「他者貢献感」なのだ。
YouTube研修チャンネル 経営理念動画
仮に、この会社の経営理念は
「障害者の自立を支援します」
「障害者に他者貢献感を提供します」
などと言っても、ありふれていたり、ナンノコッチャとなって見向きもされない。
だからキャッチーな言葉が必要なのだ。
食事介助中はよっぽどのことがない限り離れるな
これは僕が現場に出ていた頃に言ってたこと。
食事という、せっかくの楽しい時間を無意味に待たされるのは不快でしかない。
「よっぽどのこととは?」
スタッフからはそう質問されることも多かった。
- ・Aさん(介助中以外の人)が発作を起こしていればもちろんそちらを優先して…
- ・口腔ケアで呼ばれたなら、それは待ってもらうよう伝え…
- ・待てない人にはスケジュールで伝えるようにし…
具体事例を出して説明するものの、際限なくある具体を共有することは不可能だ。
だからチームでは「よっぽどのこと」という抽象的な言葉で共有し、感覚で理解できるようになるしかない。
今はそれらを言語化できるけど、当時は「わかってよ!」というしかなかった。
ちなみに余談で…
僕も含めすべてのスタッフは、いつだってただ聞くだけでなく自分の意見を言わなければならない。
「私はこう思いますけど、それはよっぽどのことに当てはまりますか?」と。
ただ聞くことは幼稚であり学習ではない。
広島駅のスターバックス
グローバル企業は本質を掴むのが上手い。
それを実行するスタッフは概念で繫がっている。
- こちらラテです、ありがとうございました!
コロナも明けて広島にも外国人観光客が帰ってきた。
広島駅のスタバは外国人で溢れかえっている。
- 観光客が求めているのは、訪れた場所の文化
という認識からなのか、スタバ店員は外国人に対しても日本語で商品を渡していた。
もちろん、「砂糖はいる?」「トイレはあっちだよ」などのコミュニケーションは英語。
しかしスタバはサービスマニュアルがないことで有名だ。
企業の文化、概念を理解できるスタッフの雇用に注力していると思われる。
ちなみに、最近京都のスタバでも外国人が大行列をなしていたという。
スタバは出店地に合わせて店舗デザインを変えることでも有名だ。
終わりに
やりたいことがあるならば概念レベルで共有する必要がある。
そうやって繁栄していきたい。
今日も明日もそれを実践していって、僕自身も精神的に自立していたいし、他者貢献感も感じていたいのだ。